今月のトピック バックナンバー

子供のトレーニング

ゴールデンウィーク真っ只中、皆さんもお休みを満喫している事と思います。新しい年度が始まって1ヶ月経ちましたが、生活パターンや新しい環境にもそろそろ慣れてきたころではないでしょうか?さて今月は新学期が始まった子供たちにまつわる運動の話をしたいと思います。

今年はオリンピックイヤー、水泳や卓球など10代の選手が代表に選ばれ大活躍しています。そんな若い選手たちはみんな幼児期から習い事としてプレーしているようです。ある文献では幼児(小学校に入る前)の子供が習い事をしている割合は約40%、小学生になると低学年、高学年の差はなく両者とも85%を超える割合だと言う事です。習い事の内容はスポーツ系、習字、そろばん、ピアノ、英語など様々ですが子供の成長に伴うスポーツ系のトレーニングについて考えてみましょう。

子供の成長に合ったスポーツを選ぶ

子供が習っている種目はどの種目においても成長過程に合ったものでなければなりません。子供の運動特性の成長過程には段階があります。個人差はありますが神経型(器用さやリズム感)一般型(身長や体重、内臓)リンパ型(免疫力の向上)生殖型(性別のホルモン分泌)が主なものです。

幼児期から小学校低学年のころには神経系の発達が著しい時期です。まさにこの時期には神経系のトレーニングを行う事がベストです。関節や軟部組織も未発達なこの時期にはランニングや筋力トレーニングなどは必要なく、様々な遊びを利用したトレーニングを行う事が重要です。この時期に習得したコーディネーション能力(頭と身体を繋げる能力)は衰えることなく、大人になってからの様々な競技に適応が可能です。

小学校中・高学年になると身長が急激に伸びる子供が出てきます。この時期に筋力トレーニングなどの重量物を利用したトレーニングを行うと関節や骨格が生成していく妨げとなり、成長痛である膝関節痛が発生しやすくなるばかりでなく、身長が伸びる制限に関わってきます。ここでは様々な体操をアレンジしたトレーニングをすることが重要です。また身長が伸びている間は持久的なトレーニングの効果が高く心肺機能の成長にはとても有効です。小学生までのトレーニングはゲームを要素駆使してコーディネーション能力を高めるとともに、自重を利用した様々な体操のアレンジをしたり、よく走る事が適しているようです。さらに成長が進んだ後(身長の伸びが止まった後)には筋力トレーニングを導入することが望ましいでしょう。

日本における小学生のスポーツ指導者および保護者はその年代での試合の勝ち負けを目的にすることが多く、子供の運動能力向上を考慮せず指導していることが多いのではないでしょうか?もちろん全てがそういう訳ではないと思いますが、これからの子供の運動指導には成長過程を考慮したトレーニングが絶対に必要であると思います。

ちなみに日本のアンダーカテゴリーでは世界大会やアジア大会でもメダルを獲得しています。これは海外選手の年齢に応じた成長が日本人よりも2年ほど遅い事と小学生の時期から個人の能力よりも組織プレーの戦術的な要素を取り入れているためだと思います。そのためその2年~3年後には海外選手の体格や運動能力が発達し、シニアの国際大会では逆転傾向にあるようです。

子供の運動指導については個人的な能力開発だけではなく、大きな目で見た場合、新たな代表レベルの選手たちの発掘にもつながるはずです。これから習い事を始める子供たちや保護者の方には、成長過程に応じた運動を行える環境で楽しく運動を行ってほしいと思います。

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