腸内フローラって何でしょう?
11月ですね。2018年もあと2か月で終わりです。来年には平成も終わり新しい年号になります。ここのところ気温もぐっと下がりあの暑かった夏が少し懐かしくも思います。
朝と昼そして夜と気温差が10度近くあるようなこの季節体調を崩される方も多いようです。人間の抵抗力にも環境が大きく関係しています。そんな中で今月はお腹の中の環境についてお話をしてみたいと思います。
腸内フローラって何?
『腸内フローラ』って聞いたことがありますか?腸内フローラとは、人間の腸の中の環境について表現された言葉です。
腸には皆さんも知っている通り大腸と小腸があります。大腸が栄養物質の残りかすなどを排出する働きがあり、小腸は食物の栄養を消化吸収する働きがあります。このような仕事をしている腸ですが、その中には様々な細菌が生息しています。数にすると1000種類、1000億個にもなる細菌が腸の中には存在していて、その様子を顕微鏡で観察した時に腸の壁にびっしりと隙間なく張り付いていて、まるでお花畑のように見えたため腸内フローラと呼ばれています。
この腸内細菌の種類や数は生活習慣や食事・人種・年齢などにより異なり、お花畑にも見える腸内細菌の形成パターンは、一人ひとり異なります。このパターンの違いに一番影響を与えるのは母親の腸内環境だといわれています。赤ちゃんは生まれてくるときに、母親の産道にある腸内細菌に接触することで細菌をもらい受けます。これが赤ちゃんの腸内に入り込み、腸内細菌として増殖していきますが、腸内フローラの原型は3歳までにつくられるといわれています。生後、形成された腸内フローラのパターンは一生変わらないとされ、3歳くらいの時の腸内フローラが最もよい状態だといわれています。
腸内細菌の分類
腸内細菌は3つに分類されます。
- ①体に良い善玉菌
- ビフィズス菌・乳酸菌など
悪玉菌の侵入や増殖を防いだり、腸の運動を促したりすることによって、お腹の調子を整えます。 - ②体に悪い悪玉菌
- 大腸菌・ブドウ球菌など
腸内で有害物質をつくり出します。悪玉菌が増えると、便秘や下痢などお腹の調子が悪くなることもあります。 - ③どちらでもない日和見菌(ひよりみきん)
- 大腸菌(無毒株)・連鎖球菌
腸内の善玉菌・悪玉菌の、優勢な方に同調(味方)して作用します。
腸内細菌の役割
善玉菌は、糖分や食物繊維を食べて発酵させ、乳酸や酢酸などを作り出し、腸内を弱酸性に保ちます。腸内が酸性に傾くと、悪玉菌は増殖ができなくなり、毒性物質が作られなくなります。また、外から入ってくる悪玉菌のほとんどはアルカリ性の環境を好むため、仮に腸内に入って来たとしても、酸性の環境を維持していれば、悪玉菌は死んでしまいます。
ですが悪玉菌が悪いと決めつけるわけにもいきません。肉類などのタンパク質を分解して、便として排泄するという重要な役割もあります。
そして日和見菌は腸内で善玉菌が優勢の場合は善玉菌の味方となり、悪玉菌が優勢の場合は悪玉菌を応援します。そのため、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化すると、日和見菌も悪玉菌を加勢して、腸内環境をさらに悪くするという悪循環を作り出します。それがゆえに割合がとても重要になります。理想割合は善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割といわれています。この割合を腸内環境といわれています。
ではこのバランスが崩れてしまうとどうなるのでしょう。ガスの発生、便秘や軟便などお腹の調子を崩すだけではなく、細菌毒素の産生、発ガン物質の産生なども考えられます。また、肥満との関連が非常に高いという研究結果も出ています。腸内フローラによって太りやすいかどうかが分かれてしまうのと同時に、太ることで腸内フローラも悪化すると考えられます。ダイエットにも関連が深いようです。
腸内フローラを整えるには
当たり前のことですが偏りのない栄養バランスの良い食事・適度な運動・休息が大事です。腸内環境を整えることはストレスにも強くなり健康・美容にも効果が絶大です。
皆さんも腸内環境を整えて健康な体づくりをしてみましょう。