今月のトピック

疲労って感じますか?

5月になりゴールデンウィーク真っ只中です。
新年度が始まり、新しい環境で1か月が過ぎました。皆さんの身体の調子はいかがですか?一般的には5月病などの言葉があるように生活環境の変化、気候の変化などの要因で疲労は誰もが感じるのではないでしょうか?今月は疲労について考えてみようと思います。

疲労のメカニズム

疲労は多くの動物が普通に感じる生理現象です。自然界で生きていく中で疲れを感じることで攻撃や防御の能力は低下してしまいます。そう考えると野生で生きる動物は生死にかかわる重要な感覚であるため本能的にそれを避けようとします。もちろん人間も、疲労時には「疲れた」と自覚します。この感覚は疼痛、発熱と同様で身体への三大アラームと言われ、重要な防御シグナルです。

疲労を感じる女性

疲労を感じるということは不快感や休養の欲求から認識される感覚です。例えば激しい運動をした時に使われるのは筋肉ですが、それを疲労と感じるのは脳です。脳で感じた感覚は身体および精神機能の減退という状態になり、その場合パフォーマンスの低下、刺激に対する反応の遅れ、思考力低下による注意力散漫、また動作が緩慢になって行動量が減るという形で現れます。

この「疲れている」という状況下での生体は、自律神経系の機能低下だということが証明されました。現代人においての疲労はスタミナ食を摂ったからといって解消されません。栄養不足による疲労というのは、一般的な日本人においては当てはまりません。

さらに肉体的な疲労に関しても、筋肉に乳酸がたまって疲労が起こると言われていましたが、科学的根拠がないことが解明されています。普段行わない高強度の運動を行った場合はそれなりの筋疲労がありますが、日常生活を送る上で買い物に行く程度の運動負荷では異常を示すことはないようです。

そのことからも現代における疲労とは無関係であることが言えるようです。

では『疲れた』と感じる脳内の変化を探ると、運動でもデスクワークでも、脳の自律神経の中枢である視床下部や前帯状回と言われている領域に疲労があることが確認できたようです。

この領域は身体的には心拍数、呼吸、体温などの体調管理、精神面においてはストレスやリラックスの状態を調節するなど、交感神経と副交感神経の調整を行う分野です。つまり、身体を使っても、頭を使っても疲れるのはどちらも脳のこの分野だと言う事のようです。

次に脳を疲労させる原因は何なのでしょう?人間が活動するときにはエネルギー物質を生成しそれを利用します。このエネルギー物質を生成するときに同時に作られるのが活性酸素になります。活性酸素は強力な酸化作用を持っていて人間の細胞をも破壊してしまいます。必然的に身体のパフォーマンスが低下し疲労につながるのです。またこの活性酸素による細胞破壊により発生する物質が疲労の最大の要因であるようです。

疲労解消

ではどのようにして疲労を克服していけばよいのでしょうか。
聞いたこともあると思いますがアミノ酸が有効であるようです。アミノ酸は血中で消費されずに体の各部位に到達し、それぞれの臓器で酵素によって活性酸素に対する作用をもたらし抗疲労作用を発揮するのです。

また体の細胞内にあるクエン酸回路は、食物からの栄養をエネルギーに変換する役割があります。クエン酸を摂取するとこの回路が活発化して、エネルギー効率が高まり、結果的に細胞にかかる負担が軽減されます。

さらにビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなどは抗酸化作用があることが知られています。さらに食事においてはゆっくりよく噛んで食べるということも重要です。唾液にはアミラーゼ以外に、ペルオキシダーゼという活性酸素を取り除いて細胞を守る酵素も含まれているからです。

現代における疲労は慢性疲労症候群というれっきとした疾病であり、単なる『疲れ』とは別のものです。
自分自身の生活習慣における行動パターン、食事、人間関係なども見つめなおし、疲れに対する正しい知識を持つことが重要です。

ヤクルト ヘルシスト 疲労の正体 巻頭インタビュー より引用
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